M-1初の敗者復活生中継をふり返る

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 12月6日、M-1が復活するのに先がけて、当日午後の敗者復活戦のもようを生中継した。今回からの試みで、だれを選出するかは視聴者の投票で決まるという。準決勝をおわった段階で、予選の順位が9位~28位までの20組が争った。

 んー。事前に決勝進出が決まっている上位8組の顔ぶれを見た時点で、ヤな予感はしていたのだが。以前のM-1だと、準決勝まで残れば一人前と言われたものだけど。

 下位のレベルが低い。M-1後に漫才を知って根本的にカンちがいしているような連中がどこかで聞いたようなセリフをしゃべっている。下位ったって、予選全体3472組から見たら、上位だからね。

(26位)モンスターエンジン
 比較的マシだった彼らにしたって、ホントにそれでM-1優勝ねらってんのかってネタ。彼らの場合、いっとき売れかけて売れ損ねた印象があって、もうなにやっていいのかわかんなくなってんだろうな。

(23位)相席スタート
 一部で「ちょうどいいブスだな」がウケている男女コンビ。かりにそのキャラ設定をおもしろいとしたとしても、ネタがそこから広がっていかない。「ちょうどいいブス」の説明になっている。

(22位)笑撃戦隊
 チラホラいたのが、ますだおかだの増田が作るみたいな、漫才見すぎて、ちょっとちがう漫才にしてみたい病のやつ。ラストの下げをヘンにしてみたりとか。笑撃戦隊はボケとツッコミの順序を入れ替えるってネタで、けっこうウケていた。これだって、まえからあるパターンだけどね。IPPONグランプリを喜んでいる層にはいいのかもね。これでもまだ、なんかやってやろうという意欲は感じられる方だった。

(21位)かまいたち
 ボヤキ漫才じゃなく、春やすこ・けいこレベルの悪口+あるあるネタ。全体で、いちばん、こういう場にふさわしい気がした。悪口言う方に愛嬌がないから、損している。

(20位)POISON GIRL BAND
 2000年結成なのに出ていて。結成15年以下に拡大されたとかで。こういうそこそこ止まりだった芸人に引導をわたしてやるための10年以下ルールだったんじゃないのか。

(16位)囲碁将棋
 チアリーディング部の悪口。

(16位)ダイタク
 双子。それを売りにしたいんだろうけど、ネタを自分たちの方に寄せすぎている。

(15位)天竺鼠
 千鳥のラインをねらってんのか?

(14位)ナイツ
 司会の陣内がさんざんあおっていた。まえにチラと見たことあるやつけど、かなりガッカリした。吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」をネタにしたものだ。その昔、ボヤキ漫才っていうのがあったけど、似て非なる。「俺ら東京さ行ぐだ」のここがおかしいとツッコでいくのだが、もとがコミックソングである。吉幾三が笑わそうと思って書いた歌詞を紹介しているだけだ。それは吉幾三のネタだ。

(12位)
 1組だけ具体的に紹介しておく。尼神インターだ。女性2人組で。ヤンキー調の2人のうちではマシな顔とブスの組み合わせ。ブスがブスのクセに、モテる女みたいなことを言う。よくあるキャラによくある設定だ。養成所の1年生がはじめて作ったっていうなら、いちおう、まとまってるけどね。相席スタートのあとに見ると、よけいもたれる。

 ブスが私はナンパされてもついていかないと言い、マシな方が男役の形でコント風になる。ブスはあっさりナンパについていき、それ以上はなにもしないと言って、あっさりキスを許し、それ以上はと言って、あっさり抱かれる。女性コンビなのに抱くとこまでやってみせるエグさが持ち味と言えば、持ち味だけど。まともに漫才を考えているなら、3つ目は展開をひねるだろう。でもそれだけやって、おわりだ。

(結果)
 あとはすでにTVで見飽きたようなコンビがほとんどで、安定はしていてもなー。あるコンビなんて、ネタじたい雑にやっているように見えてた。漫才への想いじゃなく、商魂で出てるみたい。

 投票まえにゲストに、だれ1票入れるか訊くのもどうかと思うが、陣内はとろサーモンが2003~09まで準決勝敗退だったから、応援したいと言っていた。司会なのに、そんな理由でエコヒイキされてもこまる。

 でも、関係なかった。けっきょく、人気投票で、いまTVに出まくっているトレンディエンジェルがダントツの1位だった。敗者というより勝者復活だな。
 
 
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