キングオブコント2008をふり返るついでに爆笑レッドカーペットも

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◆キングオブコント

 M-1、R-1につづけということで、TBSがはじめたコント対象の賞が〈キングオブコント〉だ。10月5日に放映され、第1回はバッファロー吾郎が優勝した。

 M-1とちがって、10年以上のコンビも参戦できることと、落選したコンビらが採点~投票するシステムが売り。ということになっているが、それがマイナス面となって、番組としてはR-1よりもツマラナイかもしれない。

 鮮度がなく、功労賞的な投票になって、R-1以前の上方漫才大賞の時代にもどったかのよう。個人的な好きキライはべつにして、「コントとは」という哲学が見当たらない。

 見てて、いちばんホッとしたのはバッファロー吾郎で、理由はいまのTVでは珍しい古いタイプのコントだからだ。てことは番組として失敗だろう。ボクの判定でも優勝だったけど、おもしろかったわけではない。

 こんなのだったら、コンテスト形式はやめて、芸人たちに好きなコンビや見たいコンビのアンケートとって発表し、上位のコンビにネタをさせればいい。結成年やタイプでいくつか部門賞を作ったりしてね。

◆爆笑レッドカーペット

 その点、『爆笑レッドカーペット』は(好きじゃないけど)哲学がハッキリしているぶん、活気がある。1分程度のネタを見せるというのは、〈笑い〉としては退行だけど、ショウケース(気になる芸人をさがすサンプル映像みたいなもの)と思えば、そんなに腹も立たない。

 秋の特番を見たかぎりでは、フットボールアワーがダントツだった。『レッドカーペット』にはときおり、漫才コンビがいつものネタをただ短くやるだけのことがあるが、あれば番組のファンでないボクが見てもハズしてる。その点、フットは後藤のセンスあるツッコミを活かすコント風の設定をもってきている。

 カツオベースの人魚に向かって──
「カッパが全身黄色で、皿がカレー皿やったらイヤやろ。そんな感じ」

 これがカニのツメになると──
「ちょっとゆでてるんか」「1回火ィ通っとるやないか」

 世間的には、天津・木村のエロ詩吟「sると思います」が人気。

 ボクがチャンネルを合わせるのは、鳥居みゆきのためだけどね。本来であれば放送禁止相当の人が映っているというのはドキドキする。時代に合わせて、キャラを作っていながら、その向こうの素顔の方がヤバイってのがいい。『ロンドンハーツ』などを見れば、意外に適応力が高い(=頭がいい)ことがわかる。

 審査員はそのつど入れ替わるけど、沢村一樹を起用しているのは目がある。あの番組は日テレの『エンタの神様』の流れを引いていて、おなじフジテレビのR-1で出てきた芸人の受け皿にもなってる。

 R-1はあいかわらずツマラナイが、昨年は当たり年で、なだぎに連覇させたのは失敗としても、決勝メンバーのうち、世界のナベアツが大ヒット、鳥居みゆきが中ヒット、芋洗坂係長が小ヒットという結果を残した。おかげで、それでなくても地味なM-1王者のサンドウィッチマンがかすんだ。

 エンタ=レッドカーペット世代の芸人であえて興味のもてるコンビを挙げると、〈はんにゃ〉だ。世間では、ヘタレ先輩を演じる金田の妙な動きが人気のようだが、個人的には、追い込まれて、ゴマかそうとするときのムチャなウソがおもしろい。エロ本のページをちぎってポケットに入れたのが見つかって、
「おれ、ヤギだから」
 と言う類である。

(笑えるメールマガジン 131)
 
 
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