B&Bの復活

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 その後、島田洋七は『佐賀のがばいばあちゃん』という本の著者として、派手にカムバックする。最初は売れない自費出版だったらしいが、大ヒットして、講演会にひっぱりだことなった。自分を育ててくれた祖母の極貧生活を切り抜ける知恵と勇気を「名言」風につづったものだ。なかには、
「気のせいや」
 などの漫才で使っていたネタも多数含まれている。

 洋七はTVに出たとき、祖母の想い出で、
「気のせいや」
 を泣きながら語っていた。ま、洋七のことだから、どこまでホントの話かわからない。つまり、このネタがホントに祖母が口にしたものなのか洋七の創作なのかわからない。

 世の中には、「ウソ」のネタを認めない人が案外多いが、創作だったら、たいしたものだろう。じゃあ、事実だったら、洋七には、笑いの才能はないってことなのだろうか。

 ちがう。それを笑えるネタとして提供するのがセンスなのだ。

 『佐賀のがばいばあちゃん』はまだ日本に貧乏があったころを思い出させたことがヒットの一因だった。主な読者や講演会の聴衆は中高年以上である。漫才ブームのころは、センスひとつで世の中を熱狂させられることに若者たちが興奮していた。

 B&Bはコンビ解散と再結成をくり返しているが、TVで見ることはめったにない。
 
 
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