B&Bの漫才スタイル

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 洋七の早口は、スピードだけの問題ではない。間をほとんど作らず、しかも、ネタふりから笑わせるポイントまでの距離が短い。B&Bの漫才をお手本にした島田紳助が、

「それまでの漫才が8ビートやとしたら、16ビートになった」

 という言い回しをよく用いるのは、そのへんの事情をあらわしている。16ビートの方がリズムの刻み方がこまかい→次々とネタをくり出すという意味合いだ。

 このことは、ナンセンスとはまたちがった形でのわけのわからなさを生む。短いネタふりで、パッと理解できない人間には、なんのことだかサッパリだ。その究極が、
「もみじまんじゅう!」
 などキャッチフレーズ。それじたいはおもしろくともなんともない。観光地に実在するみやげ物でしかない。B&Bの「もみじまんじゅう!」は、これはおもしろいことだよ、という符牒だ。

 なにも珍しいことではない。音楽のコンサートで、この曲のサビではこぶしをふり上げる、この曲ではペンライトをゆらす、なんてのといっしょ。

 子供がなにかをおもしろがるときは、もともと理屈ぬきだ。YMOの音楽に最初に反応したのが小学生たちだったというのも、おなじ現象だ。あるいは、女子中高生たちが自分たちだけにしか通じない流行を作り出すなんてことは定期的にくり返されていて、このときは漫才ブームがそうだった。

 だから、当然、大人たちは否定する。
「笑いは〈間〉が大切だ」
 なんて言う。すでに解説したように、そこは意図的なものなので、そんなことを言ってもなんの意味もない。それじたいは正論だとしても、おまえら何様なのだ? どんな漫才師をTVの人気者にした? いままで見せられた漫才がつまらないから、B&Bに熱狂したんじゃないか! と言葉にはしないが、子供たちは感じていた。
 
 
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