「ギャグ」を辞書的に説明すると、「人を笑わせる言葉や動作」ということになる。
「もみじまんじゅう!」のようなキャッチフレーズを「ギャグ」と言う誤用が広まったのは、漫才ブーム以降。
「もみじまんじゅう!」で笑う客もいるけど、本来のギャグはだれが言ってもやってもおかしいものだ。もちろん、演者によるうまいヘタはあるが、演者の代名詞になるようなものではない。
ドリフの番組でよく、
「水を飲もうとすると、水が上に向かってこぼれる」
という視覚的なギャグをやっていたが、これはチャップリンの『独裁者』という映画のギャグをパクったものだ。パクリのいい悪いはおいとくとして、映画から独立したところで、無関係の人物がやっても笑いをとれるというのがギャグたるゆえんである。ま、つまんないギャグもあるけどね。
ある芸人が人気者になっておなじみのフレーズを毎回言うというのは、キャッチフレーズである。それがウケて流行語になり、他人がマネても笑うというのはべつの現象だ。それが流行語と知らなければ、笑えない。
この誤解をよくあらわしているのが『オレたちひょうきん族』で使われた、
「がちょーん」
である。がちょーんはクレイジーキャッツの谷啓の代名詞だが、ギャグである。
がちょーんにいたる筋があって、はじめて笑える。簡単に言えば、谷啓演じるコント中の人物がショックを受けるようなオチがあって、効果音のかわりに言うのだ。
「がちょーん」
ところが、『ひょうきん族』では、おもしろくもなんともない、牛を連れた老人が前後の脈絡なく、笑いのセンスもなく言った。
「がちょ~ん、がちょ~ん、がちょ~ん」
ウケたとしたら、人気番組だからだ。
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