THE MANZAI 2015をふり返る

Pocket

 THE MANZAIが新しくなった。

  THE MANZAI内容見直しでM-1がピンチ

 変わらないのは、司会のナインティナインと最高顧問のビートたけしだ。

 たけしのコメントは編集上なのか収録現場でもそうだったのか全部のコンビにはついてないけど、技術をハッキリとホメたのが中川家とやすともだったんだよね。さすが批評名人だけあって、「まえより、うまくなった」的にホメたコンビはいくつかあるけど、ストレートに「うまい」と感心してたのが中川家とやすともだった。

◯フットボールアワー

 M-1グランプリ第3回優勝。
 エンディングで新ネタと後藤が言っていた「帽子かぶったおっさん」のネタ。岩尾のエピソード・トークがヘタというパターンじたいは最近よくやっている。

◯タカアンドトシ

 子供の成長を語るネタ。後半、「家で待ってる人がいる」コントになる。新ネタはない。

◯トレンディエンジェル

 M-1グランプリ第11回優勝。
 クリスマスの話題をふってから、ムリやりハロウィンにもどすネタ。時期が合わなくなったからそうしてるんだと思うが。ようするに、M-1でやったネタ。この人たちは自分のファン向けにやっているみたいなので、部外者は関係ない。

◯ブラックマヨネーズ

 M-1グランプリ第5回優勝。
 友だちを見舞うネタで「なに、怒られてんねん」「手ェ出したらあかんやろ」などM-1 で優勝したときのネタのパターンを守りつつ、定期的に新ネタをやっている。今回が初披露ではないが。『ホンマでっかTV』などに出ているうちに鈍ったということもなく、むずかしい笑わせ方をするネタでちゃんとウケてた。

「なんや、おまえ。ハトに色ぬってもっていけって、おまえ。そんなん、もっていったら、おれまで入院しなあかんようになるやろ」
「ちょうどええがな、おまえも入院したらええやん。入院したら、友だちの話し相手になるから、いちばんの見舞いやんけ、それが」
「向こうはなしの骨折って入院してねん。また病棟ちゃうやろ。おれはハトに色ぬってもっていって、ツルやゆーてんねんから。おれの病棟はもっと自然がいっぱいあるとこや」

 たけしがネタの内容についてコメントした少ないケース。
「危険だけど、おもしろいね」

◯ナイツ

 最近よくやってる、
「わたくし、肛門見えても」
「『こう見えても』ね」
 というツカミでナイナイの岡村が爆笑していた。個人的には好きではないけど、〈わたくし〉に技術がある。
 「上」づくしのネタ。

 たけしのコメント。
「ツッコミが異常にうまくなってね」

◯NON STYLE

 M-1グランプリ第8回優勝。
 花火デートをやりたいって設定だけど、いつまでたっても花火にたどりつかないネタ。

 たけしのコメント。
「スタイル決まってるよな。あの形やらせたら、バツグンにうまいね」
 ネタはホメてない。

◯博多華丸・大吉

 THE MANZAI 2014 優勝。
「親戚の子供たちに好かれたい」

 たけしのコメント。
「若い人とぜんぜんちがうネタやるんだけど、うまいんだよ」

◯海原やすよ ともこ

  THE MANZAIでやすともの漫才を見たビートたけしのコメント

◯笑い飯

 M-1グランプリ第10回優勝。
 ガムのポイ捨てをしたら、妖精が現れて注意するネタ。M-1 時代、決勝の 2本目でよくやっていた本人たちが楽しんでいるタイプのネタ。

 たけしのコメント。Wボケを解説したあとに、つけ加えた。
「ガムかんでるだけだぜ」

◯メイプル超合金

 プレマスターズ(新人)枠で登場。先のM-1 のトップバッターに出てきた。全身真っ赤な服装の男と太った女のコンビ。
 見た目はヘンだけど、女の体型について失礼なことを言う古いタイプの漫才。

「先ゆっとくけど、おれはバグってるよ」
 と金髪男が自分の頭を指さす陽性の自虐ネタを時折、はさむ。
「話の通じる相手じゃないんだから」

◯サンドウィッチマン

 M-1グランプリ第7回優勝。
 ひっこしのあいさつに行って、
「名乗るほどのもんでも」
 と言う。いつもの調子のサンドウィッチマン。いまひとつ、盛り上がりに欠けた。

 ネタをきっちり作るところには好感をもっているんだけど、M-1 のときの爆笑はなかなか超えられないようで。

◯三四郎

 プレマスターズ枠。今風の用語を散りばめたネタ。

 たけしのコメント。
「ゲテモンだろ」
 8.6 秒バズーカーをバッサリ切り捨てたときとおなじ調子で、目利きがくるっていないことを示した。

◯おぎやはぎ

 ラグビーのルールを教えて欲しい。
 この人たちのネタはいつも笑わそうという意欲が低い印象がある。その上品さが好きな人は好きなんだろう。

◯キャイ~ン

 西川のりお系列のウドの芸風にごまかされがちだけど、天野を見てると、昔の東京の漫才師の面影がある。今回出演した東京勢はほとんど、そんな気がした。

 たけしのコメントはデビューの前後から知ってるという年令に関するもの。

◯ますだおかだ

 M-1グランプリ第2回優勝。
 漫才あるあるを漫才でやるという、ますだのこの手のネタは好みじゃないんだけど、今回、海原はるか・かなたを出して、トレンディエンジェルをからかったのだけ、さすがって感じだった。

◯チュートリアル

 M-1グランプリ第6回優勝。
 徳井が趣味でカメラをはじめたといって、福田にモデルをお願いするネタだいぶまえからやってるけど、これ、好きじゃないんだよな。

 たけしのコメント。
「途中は監督コントだね。おれ、けっこう好きなんだけど。だんだん、ヘンタイになってく」

◯パンクブーブー

 M-1グランプリ第9回優勝。
 THE MANZAI 2012 優勝。
 二冠についてはわざわざナイナイがふれていた肩書きコンビ。
 子供が雲を指さして、「ゾウさんみたい」とか言うのがかわいいというネタ。

 たけしのコメント。
「まるっきりちがうネタやるね」
 と出演者のネタがかぶらないことに言及。

◯ハマカーン

 THE MANZAI 2012 優勝。
 「相方に不満がある」と体をきたえるのをやめるように言うネタ。

 たけしのコメント。
「進化してるなあ」

◯ジャルジャル

 プレマスターズ枠。M-1 の決勝とおなじスタイル。教科書的という意味でM-1 世代の漫才。
 彼らデビュー当初は、いまどきの若手ですって感じで、さわやかな印象だったのに、ある時期から、ずっと舞台に立ちたいんですみたいな路線に変わったよね。あえて言えば、ナイツ的なポジションをねらってるというか。

 しかし、こういう一生ケンメイ練習しましたってネタはホンモノの漫才からはほど遠い。漫才師を演じるコントにしか見えない。

◯ウーマンラッシュアワー

 THE MANZAI 2013
 おまえの家族私が作ったネタで稼いだ金で生活しているという、いつもネタをいつものように長々と。

◯矢野・兵動

 ナイナイ岡村のコメント。
「漫才の形をとった兵動ちゃんのすべらない話やね」

◯中川家

 M-1グランプリ第1回優勝。
 ボクがM-1以前にもう1組好きだったのが中川家で、彼らのことはM-1以降、それほど好きではなくなった。流したネタばかりやるようになったから。その中川家が今回はネタらしいネタをもってきていた。

 結婚式の披露宴で、ケーキを運んできた兄・剛がセロファンをはがしたあと、指をなめてしまい、
「やってもうたー」
 と頭をかかえる。
「そんなオッチョコチョイはおらんねん」

 ナイナイの矢部は中川家の漫才を見て、
「10才ぐらい上に見える」
 と言った。ナイナイはネタとはちがうところ(人間関係とか)で、いまの地位を築いたってことだ。

 たけしのコメント。
「弟のツッコミはやり手だよなぁ。兄キがボケてる間にちょこちょこちょこちょこやるのがホント、途切れないんだよね」

◯爆笑問題

 たけしはトリの爆笑問題もホメた。
 さすがの部分もあるけれど、
「言ってはいけないことを言う」
 という姿勢で笑わせるだけで、1コ1コのネタは昔ほどおもしろくない。
 
 
●総評

 で、最後に、司会が

  2015年最高の漫才師は海原やすよ・ともこに決定!

P.S.

 視聴率は平均視聴率が13.9%(関東地区)で、これまでのコンテスト形式のときより上がったらしい。
 
 
【関連記事】
  THE MANZAIでやすともの漫才を見たビートたけしのコメント
  THE MANZAI内容見直しでM-1がピンチ
  THE MANZAI 2011 はどこがくだらないか
  M-1 2015決勝戦をふり返る
  2015年最高の漫才師は海原やすよ・ともこに決定!