いちばん有名なネタのパターンは、工業高校出身の竜介を普通高校出身の紳助がけなすという、B&Bの形式をいただいたものだ。
器を借りるくらいはだれにでもできる。中になにを盛るかが勝負だ。澤田隆治なんかは「ベルマーク」に衝撃を受けたらしいが、逆に言うと、それ以前の漫才はその程度だったわけだ。
B&Bの「もみじまんじゅう!」は、もとは言えば、洋七のアドリブで、広島の人間だって当時はロクに知らないみやげ物。それを洋七のキャラクター、言い方で笑わせるという戦術だ。
紳竜の「ベルマーク」は紳助の戦略によって、事前にねられたちょうどいい落としどころだ。マッサージで言えば、そこがいちばん気持ちええねんってところをねらって押す。
ところが、新しい漫才の最初に飛びついた子供にはそれほどでもない。マッサージが子供にはあまりピンとこないように。
子供にとって、漫才ブームの漫才が最初の漫才なのだ。古い漫才との差では笑わない。笑ってたやつは、紳竜の漫才についてこれてない連中だ。そういう人間でも、「ベルマーク」なら知っているということで笑って、自分もブームの一員のフリをする。それすらわからない大人は、ザ・マンザイ派の漫才を、
「わかるやつにだけ、わかればいいというような……」
と批判する。
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