沢田研二と田中裕子は寅さん映画で出会った

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 寅さんこと渥美清は若いころにした病気を隠して芸能活動をつづけていたが、寅さんシリーズがのちにギネスブックに載るほど長期シリーズ化していくうちに限界にきていた。

 そこで、ゲストに比重をおいた映画づくりに転換していく。そのしょっぱながジュリーこと沢田研二をゲストに、田中裕子をマドンナ役に迎えた『花も嵐も寅次郎』だった。

 冒頭からいきなり、ジュリーそのもののようなスターの姿で沢田研二が登場する。

 と思ったら、このミュージカル風シーンは夢でした。というわけで、現実の(って、映画の中のね)沢田研二演じる青年は気弱で、好きな女に告白もできない。とまあ、コメディ映画によくある設定で。
 その青年にエラソーに恋の指南をし、よけいなお世話を焼くのが万年フラれ男の寅さんなわけで、寅さんのホレた女に好きな男がいるという型は初期からあるものの、微妙に立ち位置が変化してきている。

 渥美清の真価を知りたいなら、初期の作品の方がおすすめということになるのだが。ともあれ、このシリーズ第30作は、ジュリー人気で観客を集め、動員的にはマンネリを打破するという皮肉な結果になった。

 現実の(って、映画の外の)沢田研二は気弱どころか、妻がいるのに、田中裕子とつきあった。『カポネ大いに泣く』で共演したショーケンこと萩原健一が田中裕子を口説こうとして2人の交際を知り、激怒したって噂。
 
 
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