佐野元春版「はいからはくち」の聴きどころ

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 『風街レジェンド2015』は豪華アーティストが続々と出てきて聴衆を楽しませていたが、ひとつ、敵があるとすれば、忍び寄る老いである。あらがう人、受け入れる人、残念ながら、能力が落ちてしまっている人、いろいろだ。

 トシのとり方としてはね、小坂忠がなんかレイ・チャールズみたいになってて、シブいっちゃあシブいね。

 女性陣はそれほど崩れてる人はなかった。山下久美子は体にキレがあったね。

 全般に歌謡曲寄りの人たちは、男女とも、当時のイメージを大切にしているようで。水谷豊は、
「ビー玉、ベーゴマ……」
 といったセリフまわしも再現してたし。

 本編のトリで出てきた寺尾聡も見た目の印象があのころのようになるよう意識してた。歌詞はトチったけど。

 で。トップバッターのはっぴえんどは、大瀧詠一の曲をやる、と。
「だれに歌ってもらおうか」
 と相談して、選ばれたのが、すっかり大学教授風になった佐野元春だ。「はいからはくち」を、
「間奏!」
 といった大瀧ワードをコピーして歌った。

 それにしても。元春は作詞作曲だけでなく歌い方にビート感があるよね。

 ※TV放送があったら、チェックしてみてくれ。

 それ以外は、終始ひかえめにしてた。あとでナイアガラ・トライアングルで出てきたときも、なにかひとことと言われ、
「B面もいいけれど……」
 と歌の導入をしただけ。ポップス系統である「A面で恋をして」の方が歌いにくそうだった。昔は自己顕示欲でゴマかしてたんだ。

 元春もだけど、キャラメル・ママfeaturing各ヴォーカリストみたいなステージが見たかったんだけどな、全体として。
 
 
●「はいからはくち」
 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

●「A面で恋をして」
 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

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