松本隆作詞家活動45周年記念イベントが2日間おこなわれた。その2日目。オープニングは、はっぴいえんどがサポート・ミュージシャンといっしょに演奏。松本隆がドラムを叩いて、3曲。あとはゆかりの歌手が次々出てきて、松本隆が作詞した歌を歌う。
タイミング的なこともあって、とくに前半は大瀧詠一追悼コンサートもかねているような感じになっていた。露出の少ない大瀧詠一をこそ見たかったファンも多かったろうに。
大瀧詠一のかわりに「はいからはくち」を歌った佐野元春が5年まえに30周年記念のライヴをやったときには、本人がほとんど出ずっぱりだった。どれだけゲストが出てきて歌おうとも、それは佐野元春のステージだった。しかし、松本隆ではそうもいかず、他の出演者はバンドでもないから、この日のために編成された〈風街ばんど〉をバックに順番に歌うので、歌番組の収録風景を見ているようだった。
それなら、いっそのこと、いまだTVで現役の久米宏と黒柳徹子を呼んで、『ザ・ベストテン』形式でやればよかったのに。
と思ったのも、はじめのうちは、太田裕美が白のドレスで出てきて、
「私は松本ファミリーの歌姫よ」
みたいなたたずまいで歌ったり、原田真二が自己主張の強いステージングを見せたりしていたのだが、80年代のコーナーがかわいそうだったからだ。
イモ欽トリオは自分たちで、
「トイレ行くなら、いまのうちですよ」
などと酒井くにお・とおる風のMCをしたせいで、客席の熱が低かったが、おれは彼らにベスト・パフォーマンス賞をあげたい。還暦を迎えたという山口良一なんて、見た目からして当時と変わんなかったぞ。3人のからみや振付も当時のまんまで見事だった。なのに、テクノ歌謡であった彼らは、テープで歌わされてた。
次に、山下久美子の登場が予告されると、
「おおーっ」
と、この日いちばんの歓声が客席からあがった。大きな拍手をもらった出演者はもっと何人かいたが、歓声ではなかった。なのに、ちゃんとしたバンド・サウンドで歌わせてもらってなかった。それこそ、『ザ・ベストテン』に出てたころの扱いを思い出したよ。
「才能あったのになー」
って終演後に話してる客たちもいたのに。
松本隆トリビュート『風街であひませう』 ⇒ 詳細はこちら
【関連記事】
ライヴで歌う吉田美奈子はバケモノ級のものすごさ
佐野元春版「はいからはくち」の聴きどころ
松本隆『風街レジェンド2015』の参加アーティスト
2010年代のヒット曲と話題