日本のコロナ対策において、初動が遅れた原因のひとつにオリンピックが控えていたことがあったのは明らか(なんて、いまさら言うまでもないほどだが)。ならば、せめて、そのオリンピックやりたさに必死で終息させる努力をすればよいものを。
すでに報じられているように、ワクチン接種に関しては、自称・先進国にあるまじき遅れっぷり。日本より人口の多いアメリカは全体の4割近くが1回済まし、そろそろ5割に達するという話なのに。日頃、アメリカの言いなりになってたのは、なんだったのでしょう。
いまだに、見た目の数字をどう低く抑えるかとか、そんなことばかり。ようやく、ワクチンが届いたとか、人手がたりないとか、周回遅れもいいとこ。
政治的には、まずは与党の責任だが、それをどうにもできない野党も同罪。マスコミにいたっては、それらをただすどころか、大半は政権への忖度を加速させている。そこに便乗して他人を攻撃するしか能がない有象無象がまともな批判をかき消し、イライラした気分だけが世の中に増殖していく。
医療従事者をはじめ現場で働く人たちの善意と努力で、なんとか最悪の事態にいたらずどどまっている状況にありながら、そういう人たちに対する社会的なサポートはほとんど見られない。
こういう個人の力ではいかんともしがたい状況をなんとかしてもらうために、国民は選挙を通じて権力をゆだねているはずである。ところが、選ばれた議員の多くは民主主義の根幹を破壊するような活動にばかり熱心だ。
昨年のいまごろは、「夏までには」とか言っていて、それでも、ずいぶん先だなあ、と暗澹たる気持ちになっていたのに、けっきょく、1年まるまる灰色にぬりつぶされて、いまだ好転のきざしが見えない。
とうとう、4月15日、「まん延防止等重点措置」なるものの適用を計10都府県に拡大。変異ウイルスの広がりからくる第4波到来が確定。緊急事態宣言を先月21日に全面解除したばかり。今月5日には早くも、大阪、兵庫、宮城で「まん延防止等重点措置」が適用された。
この「まん延防止等重点措置」という表面だけの印象操作があからさまな名称に対する不信感は当初からあちこちで言われていたが、「まんぼう」と略すなとか、どうでもいいことにやっきになってるだけで、このザマ。
かつて太平洋戦争で、とっくに負けているのに、それを受け入れるのがイヤさにズルズルと死ななくてもいい人たちの命を浪費し、バブル景気とやらがしぼんでいく事態を受け入れることができずに、手おくれになるまで放置したあげく、そのツケを無関係の人々に押しつけた結果、経済を完全に破壊した。
そして、いまである。「最初に、ちょっと欲かいたせいでミスったけど、ここから懸命に挽回します」と反省、奮闘する責任者の姿は見えず、恫喝するような声ばかりが響くうち、またズルズルと。
こんな状況でオリンピックなんて、やってもやらなくても、選手たちがかわいそうだ。そういや先週(4月9日)、招致のときに「アンダーコントロール」だと言った福島原発の汚染水がどうにもコントロールできなくなって、海洋放出することを決定したんだと。
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