1972年11月発売のヒット曲と話題

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アグネス・チャン「ひなげしの花」

 作詞:山上路夫/作曲:森田公一
 (32万枚/翌年28位)

 ♪おっかのうえ~という歌唱で知られる代表曲。ボクの子供のころにアイドルで名前がよく出た。2才でそんな記憶があるはずないから、息の長いアイドルだったのだろう。印象も強い。アイドルとしておわったあとも、TVタレントとして残り、あんなに長く日本にいるのにどうして日本語がうまくならないんだ、確信犯だろうとからかわれた。舌ったらずな日本語がかわいいというのは、大東亜共栄圏的差別の一種なんだけどね。
 
 

郷ひろみ「小さな体験」

 (30万枚/翌年30位)

 「男の子女の子」はアイドルの枠をハズレない範囲での過激さがあり、それがあのヘンな声とマッチして、ちょっと突き抜けた新しいスターの誕生を予感させた。なのに、そんなヒットではなかったんですね。記録より記憶に残る歌ってことでしょうか。お茶の間での人気爆発がセールスに結びついたのが、この曲。歌の世界は、だいたい知名度がググッとあがった出世作の次の作品が結果を残す。この後、どんどん勢いがついていく。
 
 

内山田洋とクールファイブ「そして、神戸」

 作詞:千家和也/作曲:浜圭介
 (30万枚/翌年32位)

 イントロのホーンに若い世代はひくかもしれないが、いましばらく待って欲しい。♪神戸 泣いてどうなるのか 捨てられた我が身がみじめになるだけ~という歌がはじまるバックで流れる泣きのギターがハードロックなのだ。♪そして ひとつが終わり~のところの転調や♪夢の続き 見せてくれる 相手さがすの~という嘆き。結婚式御用達の「長崎は今日も雨だった」は好きになれないが、これと「噂の女」がやっぱいいでしょう。
 
 

山本リンダ「じんじんさせて」

 作詞:阿久悠/作曲:都倉俊一

 ニュー山本リンダを支えたのは、都倉俊一の派手なアレンジ。大ざっぱに言えば、ラテン系(たぶん、カルメンあたりからの連想)なんだろうが、曲によってはイントロのイントロみたいな凝ったつくりになってるものがある。前作ではスペイシーな入りで、今作もおっと思う。詞は♪一人二人恋の相手は星の数 誰も彼も悪い男じゃないけれど 抱かれてもいいなんて思えない~までいって、♪男ぎらいなんて云われちゃ困るけど~と。
 
 
●小柳ルミ子「漁火恋唄」
 (36万枚/翌年21位)
 
 

■時代Topic 1972.11

 5日、上野動物園で、ジャイアント・パンダのカンカンとランランが一般公開された。入園者の熱気でメスのランランがダウンするほどの騒ぎ。きっかけは9月の首相訪問による日中国交正常化。友好政策でパンダを送るのは、中国外交の定番だ。ランランのあとにはホワンホワンというのもいた。この時代の子供だった小泉今日子はおなじ音のくり返しによる連想から、自分のエッセイ集に『パンダのan・an』というタイトルをつけた。
 
 
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