梶芽衣子「怨み節」
作詞:伊藤俊也/作曲:菊地俊輔
(34万枚/翌年22位)
セクシー・アクション映画『女囚さそり』シリーズ主題歌。もう1曲「修羅の花」と両方73年のヒット曲であるが、基本は女優である。日活は主役が歌を吹き込むのが伝統だった。映画が映画だけに、タイトル通りのコワイ曲となって、彼女のイメージはそこから抜けなくなる。コメディ・ドラマ『寺内貫太郎一家』に出ても、静江役のこの人だけは貫太郎のせいで足の悪くなった長女という影のある役だった。
美川憲一「さそり座の女」
作詞:斉藤律子/作曲:中川博之
美輪明弘は別格として、オカマ風キャラのTVタレントをボクはいっさい認めない。その元祖格、歌手時代の代表曲がこれ。♪どうせ私はさそり座の女~の〈どうせ〉が似合うのは〈さそり座〉しかないだろう。おひつじ座じゃ突進するし、おうし座はのんびり、ふたご座は分裂してる、かに座はアワを吹き、しし座はたくましい、おとめ座ややじろべえみたいなてんびん座と正反対のイメージにある。タイトルだけが有名な曲のひとつ。
キャロル「ルイジアンナ」
作詞:大倉洋一/作曲:矢沢永吉
リーゼントに革ジャンという姿で、フジテレビの『リブ・ヤング』に登場、ミッキー・カーティスが即座にプロデューサーを買って出た。バンド時代は永ちゃんとならんで、作詞&ヴォーカル&ギターのジョニー大倉の存在が大きかった。カヴァー・ポップス時代の日本語英語チャポン歌いをはっっぴいえんど以降の日本語ロックにあてはめ、ストレートなロックンロールに乗せた、日本語詞を英語風の発音で歌うスタイルが衝撃をあたえた。
クニ河内「透明人間」
クニ河内ソロ名義のユニークなヒット曲。透明人間の悲しいボヤキ節がおもろい。福岡の鉄工所で旋盤工として働きながら、ジャズ喫茶に通ううち、ミッキー・カーチスに上京を勧められ、ザ・ハプニングス・フォーを結成。25才のときに「あなたが欲しい」(65)でデビュー。寺山修司の映画『書を捨てよ町へ出よう』(71)の音楽なども手がける。このヒットのあとは、NHK教育テレビのパーソナリティを務め、子供向けの歌を作る。
西岡恭蔵「プカプカ」
作詞/作曲:西岡恭蔵
7月に出たアルバム『ディランにて』よりのシングルカット。多数のミュージシャンや役者(桃井かおりとか)にカヴァーされた人気曲。フォークソングなのに、ジャジーな楽曲が似合いそうなけだるい世界を描き、それでいて、妙なユーモアがあって、お洒落とはほど遠い。そんな歌を野太い声で歌う。この後、細野晴臣を迎え、74年1月に『街行き村行き』をリリース。お茶の間向けには成功せず、他人に名曲を提供する人となる。
天地真理「ふたりの日曜日」
(44万枚/翌年13位)
チャート1位の連続記録は、ここで途切れた。
■時代Topic 1972.12
この年は、第1次田中内閣(7月7日~12月22日)が発足。このときは福田派が入閣を拒否したために、郵政と経済企画庁長官は首相兼任。田中角栄は歴代最年少の54才で首相の座についた。というより、この人は学校もろくすっぽ出ていない土建屋親父で「いい大学を出て、偉い人になる」という社会通念を破壊、日本が土建屋国家となる金脈政治の基礎を築いた。いわゆる55年体制による自民党支配中興の祖。抜群のカリスマ性を誇った。
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