小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」
作詞:山上路夫/作曲:平尾昌晃
(69万枚/年間2位)
デビュー4曲目、「私の城下町」とならぶ代表曲で、これも国鉄の〈ディスカバー・ジャパン〉キャンペーンに乗っかるようなご当地ソングであることに加えて、結婚式御用達ソングということで、無敵でしょう。♪瀬戸(わんこそば)日暮れ(天プラ)~って歌うのは横山ホットブラザーズのネタだっけか。
〈夕波小波 あなたの島へ お嫁に行くの 若いと誰もが 心配するけれど 愛があるから だいじょうぶなの〉という詞は職人芸。
あがた森魚「赤色エレジー」
なんで突然、大正ロマンなのかが、わからない。アングラの流れなのか。ともかく、大ヒットした。バイト先に鈴木慶一の母親がいて、「うちにも似たような息子がいるから、遊びにきなさい」と誘ったエピソードは有名だ。このへんの人脈では最初の成功者だが、一発屋におわった。75年に大作『日本少年 ─ヂパング・ボーイ─』を発表したり(横書きタイトルは右からだからね)、眠い映画の監督をしたりと独特の存在感を放っている。
欧陽菲菲「恋の追跡」
(28万枚/年間36位)
〈ラブ・チェイス〉ってやつですね。けっこうカッコいい曲。天才漫才少女と歌われた海原千里・万里がネタでたしかこの曲。舌ったらずのしゃべりかたを千里がマネする。のちの関西視聴率女王=上沼恵美子である。関西テレビ・ディレクターと結婚したときに、いちど引退している。それきり漫才をやめてしまい、おばちゃんパワーのホラ吹き司会者として復活した。かつて「漫才界の白雪姫です」と名乗っていたころの面影はない。
高倉健「望郷子守歌」
作詞:大次郎/作曲:深井大輔、渡辺岳夫
最後の映画スター=高倉健のヒット曲、4月公開の東映映画(監督:小沢茂弘)の主題歌。♪オロロン オロロン オロロンバイ/ネンネン ネンネン ネンネンバイ おどまおっかさんな~という強い印象を残す歌詞。口ベタ/不器用が売りで、アナクロ/硬派の権化みたいに思われてる健さんだが、歌も歌うし、三人娘(=アイドル歌手)の江利チエミと結婚してんだよね。けっこう、ミーハーなんじゃないだろうか。
友部正人「一本道」
作詞/作曲:友部正人
同業者からのリスペクトが高い友部正人のいちばん有名な曲。♪ああ 中央線よ 空を飛んで あの子の胸に 突き刺され~という歌詞が好きな人はどうぞ。77年には思潮社から『おっとせいは中央線に乗って』という詩集を出している。そういう評価のされ方をしている人で、そのへんを認めるかどうかで、評価が別れてくる。歌謡曲の人ではない。収録アルバム『にんじん』は全編弾き語りで、「一本道」もアルバム用に録音してある。
秀夕樹「海のトリトン」
作詞:林春生/作曲:鈴木宏昌
おっ、トリトンもここですか。♪水平線の終わりには 虹の橋があるのだろう~というわけで、ギリシア神話を下敷きにした手塚治虫原作の海洋アニメ。城みちるばりのイルカに乗った少年だ。ボクは再放送で見た。最終回でうっかり昼寝ってしまい、見損なった。しばらくして再び再放送があったのに、またもや最終回でうっかり昼寝ってしまい、見損なった。しかも、夢を見た。トリトンの最終回の夢。いまだに正しい最終回を知らない。
水木一郎+コロムビアゆりかご会「ぼくらのバロム・1」
作詞:八手三郎/作曲:菊池俊輔
水木一郎はヒーローものの主題歌を多く歌っているが、これが最高傑作だろう。擬音の嵐だ。♪マッハロットで ブロロロロ ブロロロロ ブロロロロ ぶっとばすんだ ギュンギュギュン 魔人ドルゲを ルロルロロ やっつけるんだ ズババババーン バロムクロスで キューンキュン 二人が一人 バロロム みんなで呼ぼう バロムワン……ほとんど意味不明だ。とくに、「魔人ドルゲを ルぅロルロロ」って。
遠藤賢司「カレーライス」
アルバム『満足できるかな』からのシングル・カット。
注目の歌
■時代Topic 1972.04
16日、ベトナムでアメリカが北爆をエスカレートさせているころ、ノーベル文学賞の川端康成が逗子マリーナ・マンションの仕事場でガス自殺。『四畳半襖の下張』を掲載した月刊誌『面白半分』が猥褻文書販売容疑で摘発された。85才の痴呆老人を追った有吉佐和子『恍惚の人』や奈良林祥『HOW TO SEX』がベストセラーに。水島新司は少年チャンピオンに『ドカベン』を少年マガジンに『野球狂の詩』を連載した。
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