植木等に興味をもった人や昔をなつかしみたい世代は『喜劇人に花束を』(『植木等と藤山寛美』増補改題)や『テレビの黄金時代』(インタビュー主体のキネマ旬報版もある)を読めば、最近なにかと話題の昭和30年代にスーパースターだった植木等のようすがわかる。
『喜劇人に花束を』から植木等の映画でのいちばんの成功作と言われる主演第1作に関する記述を少し引用すると──
「『ニッポン無責任時代』のヒットは、〈個人の幸福に関して何の責任ももたない体制に対しては無責任な態度で居直るほかない〉というメッセージを観客が受けとめたからである」
次の『ニッポン無責任野郎』はまずまずの評価。以降、作を追うごとに、どんどんおもしろくなくなる。
もともと、植木等やクレイジー・キャッツは、舞台がいちばんおもしろく、その次がTV、映画がいちばんツマラナイと言われる。ぜひ日本テレビで、わずかに残っている『シャボン玉ホリデー』や86年3月6日の〈木曜スペシャル〉2時間特番を放送してもらいたいものだ。
クレイジー・キャッツ全員で出演した映画では、結成10周年記念の『大冒険』が代表作、あと『クレージー大作戦』は映画評論家の荻昌弘がホメた。
『ニッポン無責任時代』 ⇒ 詳細はこちら
『ニッポン無責任野郎』 ⇒ 詳細はこちら
『クレイジー・キャッツ10周年記念映画 大冒険』 ⇒ 詳細はこちら
『クレージー大作戦』 ⇒ 詳細はこちら
P.S.
『ニッポン無責任時代』(1962年)
日本のミュージック・シーンにおいては、小林旭がエルヴィス、クレイジーキャッツがビートルズだと思うが、映画においては、植木等の単独主演が(とくにこの第1作などは)エルヴィスってる。ミュージカルというよりは、映像による歌のアルバムだ。無責任キャラはいまの目で見ると、やや地味である。
■再掲載(初出2007.03.28/追記2012.05.26)