『となりのシムラ』における貫地谷しほりのセリフ回し

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 NHKがシリーズ化しているコント番組『となりのシムラ』#4に貫地谷しほりが登場した。全9本のうちの2本。他のコントに出演している女優は吉田羊や菊地凛子、村岡希、男優は染谷将太などである。

 3本目の小品「空気清浄機」は木南晴夏とOLの会話。動いているかどうかわからないほど静かな空気清浄機なのに、志村けん演じる部長が通ると反応して空気を清浄にする。と、まあ、コントの設定としては簡単なものだ。部長が自分の席に去ったはずなのに動きつづける空気清浄機。見ると、部長のハンカチが落ちている。
「とってくれ」
「ムリです」
 のオチ一発で笑わせる。

 フッと軽い笑いとはいえ、この番組で笑わされるとは思ってなかったので、驚いた。しかし、録画を見直しても、セリフのタイミングと「す」の切り上げ具合が正確である。このとき、貫地谷しほりはうしろ姿で、純粋にセリフのみで笑わせるのだから、得意分野とはいえ、お見事としか言いようがない。

 7本目の「家出」は、ヒモのごとき彼氏(中村蒼)と暮らす貫地谷しほりのもとへ、母(麻生祐未)が家出してきて、そこへ父(志村けん)が追いかけてくる。それで、彼氏を見て、
「だれだ?」
 となって、それぞれの立場がクルクル入れ替わる。ストーリーの中心は貫地谷しほりだが、どこか調子のおかしい母や下手と強気が交差する父、ふりまわされたあげくの彼女のホンネを知らされる彼氏がポイントとなる。

 演劇的なよくあるシチュエーションだけ作ればなんとかなるってもんじゃないんだよね。ちゃんとしたギャグがなければ笑えない。貫地谷しほりは的確な受けの演技を見せるが、損な役回りだった。
 
 
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