「細野晴臣コンサートツアー」と題されたライヴが2018年11月22日の京都・ロームシアターを皮切りにスタートし、2019年02月23日の台湾・Legacy台北までつづく。
2019年01月18日(金)の兵庫・神戸文化ホール(中ホール)であったライヴのレポートを。
細野晴臣以外のメンバーは、高田漣(G), 伊賀航(B), 伊藤大地(Drs)、野村卓史(Key)と近年おなじみの顔ぶれが中心。
英語詞の曲を3つ歌ったあとにMC。
昨日、神戸に到着して、千載一遇の機会だからと、キャンドルを灯す慰霊祭に参加したとのこと。そう、1月17日は神戸・淡路の大地震(阪神大震災)が起こった日。つづいて、
♪あの歌も君とともに消え……
と歌い出す。そう、『Heavenly Music』でカヴァーした「The Song Is Ended」(作詞・作曲:Irving Berlin 訳詞:細野晴臣)。フレーズまで、心にしみる。
♪残るはただ甘いあのメロディ
※細野晴臣『Heavenly Music』
そのあとは、神戸散策の話。以前から神戸に住みたいと言ってる細野さんのお気に入りの店など。
「あたりまえの情景が東京はなくなったの」
と語ってた。
「(神戸は)建物と道路のバランスもいいしね。海と山があって、風が吹いて」
それから、3月に出るアルバムのこと。ソロ名義での第1作『HOSONO HOUSE』をリアレンジしたものらしく、その新しいアレンジによる「住所不定無職低収入」と「薔薇と野獣」を披露。重みの増したカッコいい曲に仕上がっていたように思う。これは買おうって気になった。
ちなみに、ニュー・アルバムの方のタイトルは『HOCHONO HOUSE』(ほちょのはうす)となっている。3月6日、リリース。アナログ盤も出るらしい。
ライヴは引き続き、雑談(と呼びたくなるMC)混じりにのんびり進んでいく。この年になると、フツーに歩いてるだけでコケる、みたいな話。渋谷でズボンに穴があいて、それをはいてきてしまった。
「ダメージ加工」
終盤のメンバー紹介では、伊賀航を「紅白出た人」と言い、知り合いがたくさん出てたと。林立夫とか鈴木茂とか。
「ボク、(紅白に)呼ばれなかったの。呼ばれても出ないけどね」
細野さん他が引っ込んで、ドラムの伊藤大地とキーボードの野村卓史が同級生コンビで、カヴァーのインスト。最初、野村卓史がまちがえて、やり直し。伊藤大地がキンチョーするよね、とフォローしてた。
「こんなキンチョーするステージない。(中略)高校の卒業式の前日に、トロピカル3部作をカヴァーして」
3月におなじくアルバムが出る高田漣が再登場し、
「細野さんがもう少しタバコ吸いたいみたいなんで」
と自分の曲をやった。
細野さんも出てきて、「CHOO CHOO ガタゴト」のときは、
「松本隆きてるでしょ?」
なんて客席に向かって語りかけながら、はっぴいえんど時代のツアーが題材になってると、楽器があるから自由席のデッキに立って移動してたとエピソードトーク。立ったまま寝る。
「ここから気合を入れて」
と演奏した「PomPom蒸気」は、
「ちょっとまちがえた。歌詞が」
と自己申告。
そのあとが「ボディ・スナッチャーズ」だったかな。映画はリメイクのカラー版の方が好きらしい。
アンコールの「香港ブルース」でキーボードが間奏に遊びを入れると、客席が笑うという好ましい雰囲気。「相合傘」で、おしまい。
アンコールも含めて1h半。でも、トークもあって、充実してる。明るくなった瞬間に「楽しかった」と連れに語る女性がいた。帰り道でも、「ゆるいところがいい」と言い合ってる男どもの声。
ボクはこのライヴを見せたかった人がいるのだけれど、事情でいま会うことができないから、それが悲しかった。ライヴのデキがよいほどね。