1970年05月発売のヒット曲と話題

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渚ゆう子「京都の恋」

 作詞:林春生/作曲:ザ・ベンチャーズ
 (53万枚/年間10位)

 タイトルからはうかがいしれないが、あのベンチャーズが作曲。年末にかけて8週連続1位を獲得、翌年まで80万枚以上売れた。傷心旅行が題材。歌詞はありきたりでどうということもないが、〈風の噂を信じて今日からは/あなたと別れ 傷ついて〉という出だしは、よく見れば、明確に言い渡された失恋ではない。ひとりガテン。コッケイなドンデン返しを空想できる。当時、女はこんなふうに自ら身を引くものと定義づけられていた。
 
 

日吉ミミ「男と女のお話」

 作詞:久仁京介/作曲:水島正和
 (29万枚/年間36位)

 好き、という点では、1970年のいちばんかもしれない。町田康も小説かエッセイで歌ってた。♪恋人にふられたの よくある話じゃないか~というフレーズのキャッチーさとヘンな声による投げやりな歌唱は耳について離れない。演歌とモダンのハイブリッドというところか。♪恋はおしゃれな ゲームだよ~という新世代的価値観もあれば、♪ベッドで泣いてると 涙が耳にはいるよ~というギャグもある。
 
 

黛ジュン「自由の女神」

 作詞:なかにし礼/作曲:三木たかし
 (26万枚/年間38位)

 この曲はコンガ? 南国風味、ヴォーカルさわやか、エロ。48年、東京生まれ。64年に本名でデビューした出直し組。67年に改名して、「恋のハレルヤ」がヒット。〈まゆずみ・じゅん〉というのは、たしかにもとの〈渡辺順子〉より派手だけど、それよりもGS系のサウンドでミニスカートというのがウケたのだろう。翌年の「天使の誘惑」は45万枚で年間18位、日本レコード大賞をとった。その後、女優に転身。
 
 

よしだたくろう「マークⅡ/イメージの詩」

 68年12月に開村した広島フォーク村のメンバーによるオムニバス『古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう』が4月にリリースされた。そこからのシングルカット。レーベルとしてのエレックはここで吉田拓郎を得たことで、大きくなっていく。拓郎のアイドル的人気は10月に出るアルバム『青春の詩』のころには熱しており、アングラと同義語だった第二次フォーク・ブームは、さらにメジャー化の段階へと突入していく。
 
 

■音楽Topic 1970.05

 5月25日付のチャートはと見れば、「圭子の夢は夜ひらく」が1位を獲得。このとき、2位は「女のブルース」と藤圭子の1-2フィニッシュでんな。この年最初の1位は皆川おさむの「黒ネコのタンゴ」(69・10)で、これがそのまま年間1位曲になる。このとき、皆川おさむ6才。トータル、じつに223万枚のヒットである。ガキは強い。
 
 
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