ねごと「DESTINY」の高評価で再注目した少年ナイフの存在感

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 週刊文春の「考えるヒット」で近田春夫が〈スペイシーな官能性〉を高く評価していたのがねごとの「DESTINY」だ。

 ボクは「真夜中のアンセム」が貫地谷しほり主演のドラマ『おふこうさん』(2014年1月~)に起用されたことで、名前を知ったんだけど。今回の「DESTINY」は9枚目のシングルにして『銀魂°』のエンディング・テーマ。

 2010年の9月にメジャー・デビューした彼女たちは、近年目立つ女性バンドの中でも話題の1組。

 そいで、その〈スペイシーな官能性〉うんぬんと「DESTINY」を評価した文章の前フリ部分で、近田春夫は聴くまえはもっと少年ナイフ的なものをイメージしてたって書いてた。

 ボクがひっかかったのが〈少年ナイフ〉の部分。音楽性をわかりやすく説明するのに使われた固有名詞が〈少年ナイフ〉なんだ。少年ナイフを知ってる音楽ファンならそれだけで、だいたいのイメージがつかめる。

 これって、すごくない?

 ビートルズやセックス・ピストルズのクラスじゃないと、なかなか成立しないぜ、この表現。

 たとえば、日本のガールズ・バンドで商業的に最も成功したプリンセス・プリンセスを用いて、
「プリプリみたいな音楽」
 と言われたって、ピンとこない。それは彼女たちが歌謡曲的な人気とはべつにいい音楽を作ってたとかってこととは別問題だ。せめて、曲名もいっしょに出してもらわないと伝わらない。

 ときどき、インタビューで、
「オレたちの音楽はジャンル分けなんてされたくない。(バンド名)ってジャンルの音楽をやりたい」
 と、おっしゃっておられるミュージシャンをお見かけしますが、少年ナイフはその域に達している。

 少年ナイフのように、ひとつのスタイルを突きつめるっていうのは強いんだ。まあ、やってる本人たちにしてみれば、いろいろあるのかもしれないけど、少年ナイフはその在り方も含めて、ずっと少年ナイフだ。

 で、少年ナイフって、いまもちゃんとつづいてるんだよね。オリジナル・メンバーは、いまや妹のアッちゃんも結婚でぬけて、サポート・メンバー化しているけど、あいかわらず、日本より海外でウケている。バンドも女性の方が長寿なんだろうか。

 話ともどすと、「DESTINY」で評判を得たねごとは、この先、ジャンル・ねごとを確立するのか、それとも、プリプリ的な成功を手に入れるのか、はたまた……

 というわけで、ボクはねごとのおかげで、貫地谷しほりのファンが増えるなら、うれしいんだけど。
 
 
  「DESTINY」 ⇒ 詳細はこちら
 
 
 ♪少年ナイフ『Burning Farm』『山のアッちゃん。』『Pretty Little Baka Guy』『712』の初期4タイトルがリマスター&高音質化で1月1日に再発。

  ⇒ 詳細はこちら
 
 
●ねごと「DESTINY」
 作詞:蒼山幸子/作曲:沙田瑞紀・蒼山幸子
 (2015年6月発売/24位)
 
  
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