椎名林檎「ギブス」はファンの中心層が変わるきっかけとなった曲

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 転機となった5枚目のシングル。2枚目の「歌舞伎町の女王」で大人の音楽ファンの注目を浴び、つづく、「ここでキスして。」で女子高生など広く一般のリスナーを得て、前作「本能」でひとつのピークに達した。同時代のヒット曲に対する異質な存在感から、戸川純を想起した大人も多かった。

 椎名林檎がくり出すさまざまな仕掛けや遊びを楽しんできたリスナーは「ギブス」に接したとき、少々たいくつした。

 「ギブス」はハードなサウンドながら、スロー・ナンバーだったのである。フツーならば、歌手のキャリアで1曲ぐらい気に入らないのがあったところで、大したことではないのだが、椎名林檎の場合は、1stアルバムがこってりとした味わいで、「本能」があれだっただけに、次の期待が大きかった。

 そこへ出てきた「ギブス」は、サビがカラオケ御用達と言っていい乙女心の歌だった。

 ♪ぎゅっとしていてねダーリン

 これを見れば、新しい戸川純なんてな見方が錯覚だったことがわかるはずだ。勝手な期待をしていた、こっちが悪いんである。

 もとは1999年4月リリース予定だったらしい。つまり、「本能」より先に完成していた。アーティストとしての椎名林檎が突然変異したわけではない。結果、このリリース順は成功で、「本能」が売れて、一段と注目を浴びたところへ「ギブス」がきて、女子高生の心を完全につかみ、人気が長期化した。

 
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