平沢進のライヴ・大阪公演 2日目の感想──
開演まえ、入場までならばされて、雨ってのはヤだね。早くも、初日にゲットしたのか大阪限定TシャツにMANDALA-MINO(あるいは、どちらか)という若い女性が多く(若くない人も、女性じゃない人も)、細長いツアータオルを頭にのっけてる。
MANDALA-MINO こちらはLサイズになりますので、かなりたっぷりしたシルエットです。写真ではスリムパンツの上から着用していますので、足元のパンツの部分、通常は足首が出る形になります。 pic.twitter.com/nGu1e7Srqy
— 第9曼荼羅 (@Hirasawa_Live) July 6, 2017
客層は多岐にわたり、地味な10代男子、古びたおじさん、露出過多の女性、外国人、アニメファン風などなど。
MCの平沢節は健在
平沢進の大阪でのライヴは11年ぶりで、不親切ぶり健在。開催の背景にはTwitter フォロワーの増加があって、てことは、初見の観客も多かったのでは、と想像するが、本編ラストの、
「どうも」
までノーMCという徹底ぶり。ステージ上の妙な楽器(?)に首をひねってた客もいたのではないか。
そしてレーザーハープから直接MIDI信号が出るようになり、レイテンシーが大幅に改善され、コントローラーも小型になり、そこからもMIDI信号を出せるので、かなり複雑なことができる。(でも複雑なことは覚えられない)
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 10, 2017
それでいて、さっさともどってきたアンコールでのMCは安定のユーモア・センス。
「再三再四、フツーのライヴだと」
と言うだけで笑うファンにささえられてのもではあるが。
「数字があるのが異質」
と背景の電光掲示板を示す。スネアドラムが叩かれた数だ。
「いきなりきた人のために……いきなりきた人はいないと思うが」
大阪と東京全5回の公演を通じ、累計で9万を超えたら、9万音符からなる楽曲が無料配信されるという趣向を説明。
この数字がどんどん変化していく演出は、意外なほど盛り上がる。「20000」を突破したときと、前日の数字(累計なので見た目には倍)を超えたところで、客席からは拍手が起こった。
「9万という数字に大した意味はなくて」
「えーっ」
「『えー』ではなくて」
わざとボソボソ、事情を説明したあと。
「ステルスメジャーを標榜する人間にとっては世も末」
メンバー紹介中も担当が「ボタン類」のところで笑いが起きていた。
ラストの曲でカタストロフ
アンコールも含めて1時間50分の尺は、体力的にありがたい(見ている最中は、長時間を望むけど)。
中盤を超えたところで、古めの楽曲に移行するのかと思ったら、「トビラ島(パラネシアン・サークル)」をやって、見てる方の気分をヘヴィーにさせた。原曲は13分を超えるタンジェリン・ドリームの曲。のちに、『変弦自在』でリアレンジを披露した。それにしても。
後半のハイライトのひとつは「アーキタイプ・エンジン」で、まあ、盛り上がる曲だし、ここらあたりの時代(アルバム『Sim City』)が新旧のファンをつなぐキャリアとなるのだろう。
これらより古いソロ楽曲が無視される中、本編ラスト3曲目で、イントロから会場が揺れた。なんと、「サイボーグ」! さすがの名曲。
その他、20曲ほどのセットリストのあいだ、学者風の風貌とは不似合いのファルセットやギターソロがはさみ込まれ、レーザーに手刀を切る姿はときにアイドルの振り付けのようにも見える。
アンコールがおわる最後の最後に30000打突破して、演奏がおわるという見事な締めくくり。ただの数字にこれほど興奮させられるとは。
(参照元:第9曼荼羅 | 現在打数表示)
近年、個人的には、細野さんのライヴがお気に入りだが、平沢進の場合はすごいという感想が先にくる。ライヴの内容も、ミュージシャンとしての立ち位置も。
廊下のケータリングコーナーでイベンターの女子(きっと何かの黒幕)が、「たこやきこうてきたのでたべてくださーい」と叫んでいた。
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) July 11, 2017