平沢進「第9曼荼羅」@Zeppなんば大阪 2017.07.09

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 平沢進のライヴ・大阪公演 2日目の感想──

 開演まえ、入場までならばされて、雨ってのはヤだね。早くも、初日にゲットしたのか大阪限定TシャツにMANDALA-MINO(あるいは、どちらか)という若い女性が多く(若くない人も、女性じゃない人も)、細長いツアータオルを頭にのっけてる。

 客層は多岐にわたり、地味な10代男子、古びたおじさん、露出過多の女性、外国人、アニメファン風などなど。

MCの平沢節は健在

 平沢進の大阪でのライヴは11年ぶりで、不親切ぶり健在。開催の背景にはTwitter フォロワーの増加があって、てことは、初見の観客も多かったのでは、と想像するが、本編ラストの、

「どうも」

 までノーMCという徹底ぶり。ステージ上の妙な楽器(?)に首をひねってた客もいたのではないか。

 それでいて、さっさともどってきたアンコールでのMCは安定のユーモア・センス。

「再三再四、フツーのライヴだと」

 と言うだけで笑うファンにささえられてのもではあるが。

「数字があるのが異質」

 と背景の電光掲示板を示す。スネアドラムが叩かれた数だ。

「いきなりきた人のために……いきなりきた人はいないと思うが」

 大阪と東京全5回の公演を通じ、累計で9万を超えたら、9万音符からなる楽曲が無料配信されるという趣向を説明。

 この数字がどんどん変化していく演出は、意外なほど盛り上がる。「20000」を突破したときと、前日の数字(累計なので見た目には倍)を超えたところで、客席からは拍手が起こった。

「9万という数字に大した意味はなくて」
「えーっ」
「『えー』ではなくて」
 わざとボソボソ、事情を説明したあと。
「ステルスメジャーを標榜する人間にとっては世も末」

 メンバー紹介中も担当が「ボタン類」のところで笑いが起きていた。

ラストの曲でカタストロフ

 アンコールも含めて1時間50分の尺は、体力的にありがたい(見ている最中は、長時間を望むけど)。

 中盤を超えたところで、古めの楽曲に移行するのかと思ったら、「トビラ島(パラネシアン・サークル)」をやって、見てる方の気分をヘヴィーにさせた。原曲は13分を超えるタンジェリン・ドリームの曲。のちに、『変弦自在』でリアレンジを披露した。それにしても。

 後半のハイライトのひとつは「アーキタイプ・エンジン」で、まあ、盛り上がる曲だし、ここらあたりの時代(アルバム『Sim City』)が新旧のファンをつなぐキャリアとなるのだろう。

 これらより古いソロ楽曲が無視される中、本編ラスト3曲目で、イントロから会場が揺れた。なんと、「サイボーグ」! さすがの名曲。

 その他、20曲ほどのセットリストのあいだ、学者風の風貌とは不似合いのファルセットやギターソロがはさみ込まれ、レーザーに手刀を切る姿はときにアイドルの振り付けのようにも見える。

 アンコールがおわる最後の最後に30000打突破して、演奏がおわるという見事な締めくくり。ただの数字にこれほど興奮させられるとは。


  (参照元:第9曼荼羅 | 現在打数表示

 近年、個人的には、細野さんのライヴがお気に入りだが、平沢進の場合はすごいという感想が先にくる。ライヴの内容も、ミュージシャンとしての立ち位置も。


 
 
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