江口寿史とバッタリ

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 催し会場でもよおしたので、下に降りてった。ちょうど、そこにあったんだけど、すぐまえに入った青っぽいやつが真ん中を使い、奥は先にうまってて、しかたがないので、手すりのついた手前のやつで用をたす。

 奥のやつが、
「朝から並んでたみたいですね」
 なんて話し出したので、
(なんだ、こいつら知り合いかよ)
 と、そちらを見ないようにしてた。

 出たあとで、なんか見たことある顔が立っているなと思ったら、江口寿史だった。さっきの青いやつだ。

 展示の方はというと──

 さあ、これから見ようってときに、いっしょのタイミングでスタートした18、19ぐらいの2人連れの片方が、
「私、中学生のころ、『ひばりくん』のアニメがすごい好きでぇ」
 と語り出し、よく知らないらしい敬語でしゃべる女に説明をしはじめた。その短い要約が的確だったので、笑いそうになった。

 おれはいつも、こういうのは、いちお、順路通りに進むけれども、見やすいところから見て、行きつもどりつして見ていく。そうすると、おれと興味をもつところが似ているのか、絵をじっとながめているときにかぎって、すぐ、おれのうしろについて、寄りそうような距離感で顔を近づけてくる花柄の黒いワンピースがいる。さすがに気になって、
(おれに気でもあるのか)
 と絵から離れるタイミングで、ふり返ってみたら、橋本愛風の美少女だったので、ドキドキした。彼女を江口寿史に描いてもらいたいと思ったぜ。

 本日見つけた名言──

「マンガ描く上で一番大事な事? そんなもん才能に決まってんじゃん」

 本日見つけた原稿落とし名人──

 ファンから、『BOXERケン』を「浪人生の友」と呼ばれ、
江口「なんで浪人生の友なのかな?」
担当「落ちてもガンバってるとゆー事じゃないかと……」
 
 
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