最近にない笑い(再掲載)

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 『メリーに首ったけ』という映画の紹介を朝のワイドショーでしておった。試写会にきとった若僧がマイクを向けられて、
「最近にない笑いでしたね」
 と、ぬかしておった。

 最近にない笑いってなんやねん。そらな、試写会くるぐらいやから、映画は好きなんかもしれへん。しゃーけどな、古今東西の映画をすべて見尽くしたんか、おんどれは! コメディだけちゃうぞ。ホラー映画や活劇、まじめな映画にだって、ギャグはあるぞ。『明日に向かって撃て』なんて、2回も爆笑させられたぞ。

 しかも、笑いがあるのは、映画だけちゃうぞ。TVもラジオも舞台も、なにより日常生活も。政治家なんかもしょっちゅうおかしなこと言うとるぞ、これはまあちゃう意味やけどな。

 その他もろもろも含めて、それをも把握し尽くした上で、「最近にない」んやったら、それはもう、たいへんなことやぞ。そんな半笑いで言うことちゃうぞ。これはもうものごっついことやぞ。赤飯炊いて、たいこやかねをドンドンチンカン打ち鳴らし、笛も吹きましょ、ぴぃ~ひゃららってな具合にあまねくすべての全人類に事態を告げる使命を背負ってしまったっていうくらいすごいことやねんぞ。

 きっと、おそらく、でも、しかし、おまえはそんなことではなしに、もっと安易な気持ちで、なんかTVカメラもまわっとるし、ここはひとつ評論家ぶって、すかしたことのひとつも言うてこましてけつかろかいなってな気分で、ほざいてみましたっちうようなもんやろ。
「やー、最近にない笑いでしたね」
 って。おまえのんがよっぽどお笑いぐさじゃ。
 
 
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