1994年の映画だが、もっと古い印象を受ける。夫がエリート・サラリーマンであることにこだわる妻や周囲の目といった世界観が80年代のある時期によく見られたものだからだ。ちなみに、大島弓子の原作マンガは89年に掲載されたもの。
暗くなりそうな境遇をたんたんと受け入れるヒロインと義父。
新人だった佐伯日菜子のちょっとカタい感じが作品にはよく合ってるし、まだ若い佐野史郎のなにを考えているかわからないキャラクターはナンセンスな夫(義父)の行動を納得させる。
しかし、妻(母)をはじめ、周囲の世俗サイドのリアクションがひまひとつで、コメディとしては生煮え。金子修介監督なら、もっと笑わせられたんじゃないかという気がするが、こういう小品系の映画の愛好家にはイヤがられるのだろうか。
クライマックスの作り方が不自然で、ラストで時間を飛ばす処理も効果的にはいってない。これはストーリー的にも、妻の扱いがあいまいだからだ。夫の元恋人のセリフだけで、強引に決着させている印象。
主題は家族の再生なのかもしれないが、肝心の〈なんでも屋〉がしっかり描かれないのは、スポーツ映画で試合のシーンが手抜きなのにも似て、不満。
脚本には、省略が必要なのだが、そこも含めてギャグにするとか、なかなか好感のもてる作品だけにもったいなかった。
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大島弓子の原作 ⇒ 詳細はこちら