現在放送中のドラマ『マザー・ゲーム』の番宣。これまで関西ではお目にかかることがなかった貫地谷しほりが『新チューボーですよ』に単独で登場(7年ぶり2回目)。
で、貫地谷しほりのトークパート。
まず、アシスタントの森星がネタにされているのにからんで、
「まだ23才なんですか? こんなに大きいのに?」
という軽いナンセンスで最初の大きな笑いをとる。
次に、家族とのエピソード・トークを求められて、
「自宅に帰って、リビングでゴロゴロしているとていると(中略)母がムーヴィーを撮ってることがあって、私の」
という話をそれに対する自分のリアクション(「えっ?」)などをおりまぜながら、再現する。この話のオチ(というほどのこともない、つけ合わせみたいなもの)である、
「いまでも赤ちゃんみたいに思ってる部分があるみたいで」
の手前で、堺正章が「なにしてんの?」と言葉をはさんだために、効果が殺されてしまった。そこで、
「『かわいい』とかなんか言っちゃって」
という言い回しを加え、笑いにしていた。
それをヨコから芸人が雑になぞったものだから、ダメ出しして、自分で母のセリフ、
「かわいい」
を演じ直して、きっちり笑いの上乗せをする。
これをフリにして、さらに堺正章の、
「(家族が出演作品を見た)あとに、なにかしらアドバイスとかあるんですか」
と訊かれ、
「もう、あの、参考にならない」
と返す。
「えっ?」
「父も、母も、おばあちゃんも、『天才じゃない?』って」
笑い崩れる堺正章。
これなかなかの技だよね。自分で自分のことをホメるのはむずかしいから、第三者による評価に変えてしまう。しかも、表現がオーバーだというネタ話になっているので、イヤミがない。
この場合、家族に言われたコメントから、どれをチョイスするかにセンスが出る。「天才じゃない?」のように会話体にせず、
「もうベタボメしかしないんですよ」
みたいな自分の言葉におきかえてしまっていたら、笑いにはなっていない。引用が的確な例だ。
後半のトークは、
「撮影でなんか雑に扱われたことがある(んだって)?」
との質問を、
「いや、もうホント雑ですよ」
と受け、表情で軽い笑いをとった。が、
「すごい高いバッグやらアクセサリーが出てくるんですよ。もう私のことなんか目に入ってないんじゃないかなっていうくらい、『カット!』てなったら、『はい、バッグもちます』って言って、すごい厳重に保管して、どっか行っちゃうんですよ、スタッフさん」
という説明の熱演はウケない。
「落としたりしたら、もう真っ青になっちゃうと思うんで」
そこで、堺正章に、
「いやいやいや、落としたりしたら、首しめられるでしょ」
とパスをもらい、
「そうですね。たぶん、殺されるかもしれない」
で、この日最後の爆笑をとった。飛躍した答えに「かもしれない」をくっつけるのがおかしい。
字面では伝わらない声のニュアンスが豊かなところが貫地谷しほりの話術の特徴だ。
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