復活!『時効警察はじめました』の見どころ

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あの『時効警察』の3rdシーズンがはじまる。2ndシーズンから12年を経ての復活というのは、日本のドラマでは珍しい。インチキなリメイクではなく、演出・脚本の三木聡の下、主演のオダギリジョー他、レギュラー・メンバーはオリジナル・キャストが完全に顔をそろえている。


 
 
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10月11日金曜深夜(12日)からの3rdシーズンに先がけて、9月29日に、特番が放送された。その印象を記しておこう。

初のゴールデンタイム、しかも、2時間スペシャルということで、そこそこのランクのゲストが多数出ていて、お金はかかっていそうだ。しかし、その程度で変質する『時効警察』ではない。あのゆるい雰囲気とノリはそのまま、完コピと言っていいクオリティで(ストーリーが新作なので、コピーという表現はおかしいのだが、そう言いたくなるほど)、リメイク作品などにありがちなガッカリは皆無だ。

総武警察署内の時が止まってる感はただごとではない。サザエさん方式ではなく、作中ではキチンと12年時間が経過しており、皮肉っぽく言えば、2時間スペシャルの前半は、このブランクをどう処理したかという設定の説明に終始しているのだが、とくに課長演じる岩松了は、ヴィジュアルからつまらなさまで旧暦シリーズのままだ(未見の人のために言っておくと、『時効警察』には、キャラクター設定として、「つまらない」人物が複数いる。なので、これはホメ言葉)。江口のりこなんかも、この9月まで連ドラに出ていたのに、空気を変えることなく、今作は妊娠している設定なのに、時の経過を感じさせない。

ただ、いかんともしがたいのがオダギリジョー(霧山修一朗)と麻生久美子(三日月しずか)の老いだ。ボクは一部のネット民のように、劣化だなんだと言い立てる趣味はないのだが、旧シリーズを見返していて、『時効警察』の魅力はじつは独特のギャグやテイストよりも、麻生久美子のキュートさにあるんじゃないかと感じていたので、よけいにそう思う。オダギリジョーも、あの青年ぽさの残るヌボーとしたところが視聴者を惹きつけていたと言える。他が変わらないだけに、そこの変化だけが目立ってしまう。新レギュラーに吉岡里帆が加わっているのは、それを補うためかもしれない。このスペシャル版の謎が「40代にしか見えない70代」だったのも示唆的である。

それでも、なお、作品じたいに古さを感じないのは、役者・スタッフの手柄だ。これは視聴者として喜んでいいことなのか。この12年間、それを負かすドラマが出なかったってことなのだから。

ちなみに、あのころはナイトドラマに冷淡だった関西も、放送日はいっしょとなっている(時間は深いが)。今回のスペシャルは『黒薔薇2』(主演・貫地谷しほり)とおなじ枠で、翌週に放送された。たぶん、旧シリーズの視聴者だった若者がいまTVを見ているのは、この時間帯だって判断なのだろう。個人的には、そんなことより次のことを考えた。『時効警察』が復活して、『キミ犯』が復活しない手はないと思うのだが。


 
 
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