昔、書き取ったとても悲しい歌のメモを見つけた。洋楽の詞の翻訳だが、たとえば、ボクが好きなのはこんな歌だ──という参考に引用しておこう。「バナナ・ボート」で知られるハリー・ベラフォンテと女性歌手(だれだろう?)のデュエット曲「ホール・イン・ザ・バケット」だ。
♪「バケツに穴があいてるんだよ、ライザ」
「じゃ、穴をふさいだら? ヘンリー」
「なにでふさごうか」
「わらでふさげばいいんじゃない」
「わらが長すぎるんだ」
「じゃ、わらを切れば」
「なにでわらを切ろうか」
「斧で切れば」
「斧が切れないんだよ」
「じゃ、とげばいいでしょう」
「なにでとげばいいんだい」
「砥石でとげば」
「砥石がかわいてるんだよ」
「じゃ、ぬらせばいいでしょう」
「なにでぬらせばいいんだい」
「水でよ」
「なにで水をくめばいい?」
「バケツでくんだら」
「バケツに穴があいてるんだよ、ライザ」