ジュディ・オング「魅せられて」
作詞:阿木燿子/作曲:筒美京平
(102万枚/年間2位)
これって、衣装が話題になって、一種のヴィジュアル系の印象が強いけど、曲だけ聴いてもじゅうぶん気持ちよくなる。海の風に吹かれる。どっちかっていうと、歌詞がヴィジュアル系やねんな。環境ビデオ風っていうか、ストーリーはなく、情景だけがバババッとフラッシュされる。
♪南にむいてる 窓をあけ
ひとりで見ている 海の色
美しすぎると こわくなる
若さによく似た 真昼の蜃気楼
Wind is blowing from the Aegean
女は海
好きな男の 腕の中でも
ちがう男の 夢を見る
ね? ようわからん歌詞でしょ。イメージはすごく浮かぶんやけど、〈女は海〉っていう比喩がね。なんでも、飲み込んでしまうって意味? それがべつに浮気を正当化するとも思えんねんけど、正当化はしてないんかなー。女は恐ろしい生き物ってこと。
それと海から吹いてくる風の関係は? まあ、リゾート地で海に魅せられて、つい外人さんとやっちゃたよーってあたりの解釈が正解かなって気もするけど、そのわりには、
「私の中で お眠りなさい」
って、ごっついエラソーやしなあ。どないやっちゅうねん。
でも、さすが阿木燿子っていうか、〈昨夜の余韻が すみずみに/気怠い甘さを 残してる〉っていう。じつは、すごい生々しい。
西城秀樹「YOUNG MAN (Y.M.C.A.) 」
作詞:BELOLO HENRI/作曲:MORALI JACQUES/訳詞:あまがいりゅうじ
(80万枚/年間7位)
セールスで見ると、年間7位だが、歌番組『ザ・ベストテン』の満点9999を獲ったことで知られる。「YMCA」の振り付けが受けた。一種のコール&レスポンスだ。
沢田研二「カサブランカ・ダンディ」
作詞:阿久悠/作曲:大野克夫
(38万枚/年26位)
ジーンズのウェストにさしたボトルからウィスキーを口にふくみ、吹き上げる、というパフォーマンスが話題に。人生幸朗は、
「もったいない画面なめた」
とネタした。ボクは、
「♪ボーギー ボォォギィ~」
と叫んでいたところ、知り合いの親切クンに「ボギーってなに?」と注意された。
「まちがってると思うから、そんなん大きな声で歌わん方がええで」
ボギーとは、映画『カサブランカ』に主演したハンフリー・ボガートの愛称で、カッコいい男の代名詞だ。
村木賢吉「おやじの海」
作詞/作曲:佐義達雄
(37万枚/年間27位)
翌年の方が売れて、トータル90万枚以上、年間17位。この年、演歌が売れたことは『ザ・ベストテン』が関係あると思う。自分についていける歌がないという衝撃がまずあって、その上で、ついていける歌もあるんだってのを発見したこと。この2段がまえだったんじゃないかなー。思いっきり想像でモノいってるけど。もっともらしく、急激なニューミュージック化に対する揺りもどしと言ってもいい。
どっちにしろ、ここで演歌が盛り返したというふうに見るのはまちがい。この時点で、演歌は死んでいた、というのは言いすぎにしろ、ほとんど寝たきりだったのにはまちがいないんだから。余命いくばくもない。
■音楽Topic 1979.02
日本語ワードプロセッサー発売、価格は630万円だった。
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