由紀さおり「手紙」
(65万枚/年間 6位)
69年 3月発売「夜明けのスキャット」でスキャット唱法を知らしめミリオンセラーも達成。これは第 5弾シングルで、70万枚近くを売り上げた。この大ヒットによって、レコード大賞歌唱賞を手にし、『紅白歌合戦』初出場をも果たした。シャンソン調の可憐な作風の裏で、小刻みなビートが揺れる、当時としては相当に斬新な作品として知られ、由紀の透き通った歌声と、変幻自在に巧みな唱法とが、群を抜いて際立った。
ソルティー・シュガー「走れコウタロー」
(33万枚/年間26位)
競馬を題材にしたコミック・ソングで、語りが入る。ノリのよい曲調に、レースを見ている観客の気分そのまま詞で、ずいぶんヒットした。ボクの子供のころまで有名だった。ボクがコミック・ソングと言うときは、この歌がひとつの基準になっている。作られた動機がウケねらいって意味で。個人的には、もっと切実ななにかが笑いという表現に結びついているのが好き。♪本命穴馬かきわけて~と歌うところはちょっと気持ちいい。
西郷輝彦「真夏のあらし」
作詞:作詞:阿久悠/作曲:川口真
(23万枚/年間46位)
ボクらの世代はアイドル時代の西郷輝彦を知らない。名前の似ている、のちのアイドル=西城秀樹の元祖っぽい歌い方をする。ちょっと意外、ダンディ系に見えるから。明日のジョー=あおい輝彦とも雰囲気が似てる。このころは、情熱的、悪く言えば、暑苦しい。つまり、記号的には、〈セクシー〉だろう。それで、辺見マリとくっついたのか? やっぱり、はじめは「やめて」とか言われたんかな( 2人は81年に離婚、90年に再婚する)。
●藤圭子「命預けます」
(44万枚/年間18位)
注目の歌
■音楽Topic 1970.07
映画『ウッドストック』が公開されたこの月、岡林信康が蒸発、渡米していた高石友也が帰国してコンサートをおこなった。杉並区の校庭では、部活動中だった女生徒たちが吐き気や頭痛、目の痛みなどを訴える。光化学スモッの登場である。東京都では翌月からスモッグ予報を実施した。ボクらが子供のころはまだ残っていた記憶がある。高度成長の弊害がじょじょに目に見える形で現れるようになった。
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