いよいよ、『女くどき飯』を 1週間後にひかえたMBS が新春ドラマとして『最高のオヤコ』を特番の形で放映した。主演が藤山直美で、仲里依紗を娘役に迎えた。仲里依紗はNHK の連ドラにも出ていて、あいかわらず、一部での評価が高い。
で、どんなドラマかとのぞいてみたら、なんと、この時代に『ステラ・ダラス』をまんまなぞったストーリーだ。日本の母物の原型となるアメリカ映画は1925年公開だぜ。
藤山直美はトシをとってますます藤山寛美のようであるが、いくら寛美が古さを背負った人だったとはいえ、90年まえの映画をひねりなしにやるか。冒頭に就活シーンを入れれば、〈現代〉になると思っているのか。
予告でチラッと見た制作風景は、
(役者の作る芝居だなあ)
って感じだった。ストーリーがこれではなあ。藤山直美さえ出せば、コメディになるとカンちがいしているんじゃないか。
仲里依紗も父親の家庭に入り込んでいくときの表情は見事だけど。冒頭のシーンなどは柄に合ってない。
いちばん笑ったのは、番組の紹介文だ。
「奇跡のラストシーン」
ご都合主義の偶然をそう呼ぶとはな。あれが奇跡と思える人には「笑って泣いて」のドラマなのだろう。
P.S.
フジの新春ドラマは『坊っちゃん』で、こちらも演技の評価が高い二宮和也を主演にもってきた。舞台設定は 110年まえに書かれた原作にそったもの。ストーリーは細部だけ都合よく拝借して、原作の精神とはまったくちがうものしてしまうという恐ろしい代物だった。
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