大滝詠一は『サボテン・ブラザーズ』が好きだったらしいが、女が男に、
「見てみ。吉本ノリで笑えるから」
とススメたのも、この映画だった。
ところが、男はちっとも好きになれなかったのである。
ちなみに、双葉評では、星こそ☆☆☆★だが、〈昔ながらの映画を復活させた〉〈こういうノンビリ・コメディ〉もたまにはいいですな〉とホメている。
名作というのは、好きキライはともかく、だれが見ても名作でございますという雰囲気をもっている。完成度がそれより劣る作品の好みにこそ、その人らしさというのが出る。
おもしろいのは、大滝詠一や双葉十三郎が好きで信頼をおいているのは男の方で、女は双葉十三郎の『ぼくの採点表』なんて読んだこともないってことだ。
恋愛における片想いの連鎖も、似たようなところに発生原因があるのかもしれない。
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