北原ミレイ
「ざんげの値打ちもない」
○作詞:阿久悠
○作曲:村井邦彦
○編曲:馬飼野俊一
1970年10月発売(万枚/年間位)
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ファド、フォルクローレ、シャンソン、そういったものをねらって詞を書いてたのに演歌のメロディがついたので驚いた、と阿久悠自身が語っている。
「音楽の形態が昭和四十年ぐらいから変わってきた。要するに、人間がしゃべるときの呼吸みたいなものがね、必ずしも七五の呼吸でしゃべってる状況じゃなくなってきて、むしろ四四、四四ていう四拍で語って転ばしていくほうがスムーズに通じる」(『A面B面』和田誠と共著より)
ということで、そこらあたり意識的に変えていこうとした。ところが、「ざんげの値打ちもない」は曲ができあがってきてみると、完璧な七五調だった。
この歌は年代記になっていて、当時手がけていたTVの音楽番組のルールで、なんでもかんでも歌を2分10秒で切ってしまう。長いときは2番をぬかして、1番と3番を歌うといったやり方に反発しつつ、切られる方も悪い、と。切られると意味のなくなる歌にしようということで、こうした形式にしたという。
さらに、あまり使われていなかった〈ざんげ〉という言葉や殺人を匂わせる歌詞などいろんなタブーにチャレンジしてる。さいしょは、刑務所で月を見ているシーンをあったそうだ。省略法の効果をねらって、はぶいてあるけど。