三上寛「夢は夜ひらく」

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 ○作詞:三上寛
 ○作曲:三上寛

 1972年4月発売
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 評価の高い人だ。ボクはまるっきり苦手だけど。小林旭ファンとしても知られる。
 おなじ青森出身ということで、「ピストル魔の少年」への共感を示したり、寺山修司とつるんだり。3rdアルバム『Bang!』 を山下洋輔がプロデュース、〈異色のハナモゲラ・ニューウェイヴ艶歌集〉と称され、サブ・カルチャーのヒーローみたいだった。そこに批評性や存在のアンチ感を見るからだろう。音楽のクオリティは関係ない。ボクには、土着というコケオドシにしか見えない。
 フォーク・ジャンボリーで「オマンコ」を連発して観客を驚かせた。71年に「馬鹿節」で登場したが、アルバム『三上寛の世界』はすぐに回収された。東北の奥深い世界、レイプや首吊り自殺が題材だ。ようするに、前時代的。怨歌と称す。
 ブルースやフォークも生活の苦しみを歌ったのがはじまりだ。としても、歌ってなんになる聴く側に快楽はあるのかって気はする。意外に青春挫折歌謡なんだと気づくのは、

 ♪サルトル マルクス並べても
  あしたの天気はわからねえ

 と、うそぶくのを発見したとき。〈四に四をたしても 苦になって〉や〈現金書留きたという/走る妹よ〉なんてフレーズにゴマかされなければ。
 もちろん、前年の藤圭子のヒット曲のパロディだ。

 ベスト盤も出ているので、「おど」ぐらいはいちど聴くといい。絶叫がすごすぎて笑ってしまうから。あ、〈おど〉は〈お父〉ね。
 末の次郎はおどに殴られ、ヤクザになり、ババのイソは働きをとられる。

 ♪みんな 首つって 死ねばいい

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