谷口イズム◆または、声のなつメロ

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 少々体調を崩しまして。
 古い録画映像を整理しておりましたら。
 谷口イズム。
 止まらなくなってしまった。

 目をつむって(しんどいからね)、まとめ聴きしていたら、改めて、思った。これはラジオだ。タニヨル時代もね、本質はそうであることは明らかだったわけだけど、取材映像とかがあったからね。

 諸般の事情で、昔あれだけ聴いていたFMラジオが遠ざかっていた時期に、『谷口な夜』がはじまって。土曜の夜のまったりした時間をすごすのに最適だった。

 谷口キヨコのしゃべりは、おれにとって、なつメロなのだ。

 そういう意味では、過去がトークテーマである『谷口イズム』は、いいところをついているのかもしれない。ただし、おれがなつかしく感じるのは、昔のできごとが話題であるからではなしに、キヨピーのしゃべり方やもっていき方や人としてのあり方がなつかしい。

 思想や哲学の明確なキャラクターだから、フツーにしゃべっているだけで、笑えるんだろうな。FMのDJとして絶頂だったころのような爆笑の大波をもってくる押し方はせずに、小波をつづけていく感じ。円熟ってやつだな。もはや、いとこい師匠の領域。

 『谷口イズム』にリアルタイムでチャンネルを合わせなくなったのは、バックのCGが性に合わないのと、15分番組になって、〈夜をすごす〉という感じじゃなくなったのが大きい。

 しかし、文章でも、雑誌の短い連載では大しておもしろいと思わなかったものが単行本にまとまったものを読むと、ハマってしまうことがあるように。

 『谷口イズム』もまとめて聴くと。
 昔の恋人との想い出のアルバムをめくるように。
 気持ちが止まらない。

 おそろしいのは、なつがしがっているのはおれの勝手で、キヨピーは現役でしゃべっているってこと。このまま、いとこい師匠のように、最後まで話芸に身をささげる気だろうか。
(2011年10月番組スタート)
 
 
P.S.

 阪神間出身で、いまや京都の住人となってしまったキヨピーは、古代都市を守護した処女神アテナのようである。