おチャン子クラブが開拓し、モーニング娘。が定着させたグループ・アイドルという仕組みがある。現在の代表はAKBグループだが、ここまでくると、ファン以外の大人の目には商売が前面に出すぎているようで、気分的にノレない。といって、ファンの気持ちはわからないでもない。
ふだん、居酒屋チェーンの類には行かないが、つきあい、というものがあって、噂には聞いていた、あるチェーン店で飲んだ。
コントのワンシーンか? というような現実離れしたモラハラが問題視されたブラック企業系の居酒屋が撤退したあとに開店した全国展開している店だ。
ここが徹底しているのは、リピーターを獲得するための、あれやこれやの仕掛けだ。いっしょに行った年長者は、最後、見送りのさいのダメ押しに、
「あれやこれや……」
と、つぶやいていたほどだ。
これらの仕掛けを担当している従業員がフロア担当の若い女性たちである。客層としては男女半々ぐらいだが、仕掛けのターゲエトは男性のようだ(ちなみに、平日なのに客はよく入っていた)。で、今回、主に接客してくれた2人が、かなりカワイイ子とまあまあカワイイ子だったせいもあって、ついつい、グループ・アイドルを想起してしまった。
仕掛けの基本は、従業員個人が特別サーヴィスをしているかのような演出である。
説明のセリフがマニュアル感丸出しだし、前後の席に新しい客がくるたび、おんなじことを言ってるので、特別でもなんでもない。が、その〈言わされてる感〉はグループ・アイドルの〈歌わされてる感〉に通じるもんがある。根底の商売はべつにして、言(歌)わされてる女の子はかわいく見えるんである。見た目がよければ、なおさら。教科書通り下の名前を手書きした名札をブラさげて。酔って恥をなくせば、呼びかけてしまいそうだ。
昭和の時代は、小料理屋のおかみなどが、特別観を演出することで、客を惹きつけた。平成の世では、マニュアル化され、複数の若い女性がたどたどしく、それをこなす。それでも、少なくとも、イキイキと仕事している女の子はタテマエをホンネで演じて、内面的にはウソがないのだろう。客にしたら、ウソとわかっていても、気持ちにウソがないように見えれば、悪い気はしない。ここらが昭和歌謡と平成アイドルの差にリンクしている。
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