1989年10月発売のヒット曲と話題

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米米CLUB「FUNK FUJIYAMA」

 作詞/作曲:米米CLUB
 (17万枚/年間50位)

 キライだったなあー、この歌。ガイジンのたどたどしい日本語を模した歌詞がイヤで。正確には、それが「おもしろい」と世間で流通してくのがイヤで。日本をステロタイプな目で見ている外人という発想じたいがステロタイプで、昔っからあるそんなアイデアを進化させたならともかく、そのままだ。ショーパブに行って、「本物の笑いはこんなんじゃない」と言っても、イヤがられるだけ、みたいな、おれ。
 
 

小室哲哉「RUNNING TO THE HORIZON」

 作詞:小室みつ子/作曲:小室哲哉
 (13万枚/年間71位)

 ソロ名義でのデビュー作。チャート1位はとったものの、それまでの小室神話からすると、パッとしなかった。人気グループの中心人物がソロでコケるのは珍しく、これがこの後、小室哲哉をプロデュース活動に向かわせたのだろー。
 
 

THE TIMERS「DAYDREAM BELIEVER」

 作詞/作曲:ZERRY

 ゲリラ的活動をくり広げていた謎の覆面バンド。ヴォーカルのZERRYを忌野清志郎だと思ってる人が多いようだが、公式発表では別人である。アルバムも同時発売。曲じたいはモンキーズのカヴァー。もとの意味を活かしながら個性を感じさせる訳詞が乗っている。♪ずっと夢を見て 安心してた僕はデイ・ドリーム・ビリーヴァー そんで 彼女はクイーン~の〈そんで〉がいい。ボクがカラオケで歌って、世評が高いのがこれ。
 
 

BUCK-TICK 「悪の華」

 作詞:桜井敦司/作曲:今井寿

 BUCK-TICKに関しては、個人的な失敗談があって。

 当時、音楽雑誌などで、さんざん騒がれてるわけですよ。バクチクは。それで、ヴィジュアル的にも発言なんかにもぜんぜん興味もてなかったのに、レンタル屋でアルバム借りてきて、聴きました。

 もう、夜も11時をまわっていたので、ヘッドフォンをして、聴く以上はちゃんと聴こうと思って、大きめのヴォリュームで聴いたわけです。ところが、アホやった。ミニコンポやのに、セパレーツ型のステレオを使ってて、CDの方にヘッドフォンつないでたのね。アンプの方やなしに。だから、大音量で家の中に響いてた。

 ♪遊びはここで 終わりにしようぜ
  息の根止めて
 ♪狂ったピエロ Bad Blood
 ♪夢見たはずが ブザマを見るのさ
  熟れた欲望
 ♪熱くキラメク ナイフ 胸に抱きしめ
 ♪あふれる太陽 蒼い孤独を手に入れた
 ♪凍える夜に叫び続ける 狂いだせ

 こういう耽美な歌詞に、ずいぶんと聞きやすい音がついてくる。そういう音楽性も含めて、ヴィジュアル系って聞くと、ボクはまず発祥地のXよりも彼らを思い浮かべた。ほっぺに〈B-T〉って書いてるし。

 耽美もずいぶん紋切り型だしな。「悪の華」って、ボードレールの全詩作を集めたぶあつい詩集に由来するんだぜ。太宰治は「人生は1行のボードレールにも如かない」って書いた。もうちょっと覚悟決めて、作詞してくれ。
 
 
■音楽Topic 1989.10

 この月に出たB’zの「Bad Communication」(作詞:稲葉浩志/作曲:松本孝弘)は、
「……あいつらべつにディスコで流行りたかったわけじゃないじゃない? だから、どいてよ、みたいな、そんなとこがあったけどね」
 と小室哲哉に言わしめた曲。気がついたら、これがガンガンにかかってた、と。このエラソーな発言の裏には、ギターの松本孝弘がもともとTMネットワークのサポート・メンバーだったせいもあると思う。
 なお、「Bad Communication 」は公式にはミニ・アルバム扱いで、2枚目と3枚目のあいだに入る。その次の「BE THERE」(90・05)なんかを聴くとよくわかるが、当初B’zはTMネットワークのバッタもんだと思ってた。だから、TM的でない部分=それこそがB’z独特の持ち味だったわけだけど、はじめはそこに違和感があった。

 ♪Hey,Hey ワカラナイ Any more 君のこと
  イミシンな言葉で カクシンにせまらないで

 というサビは稲葉の声で歌っての違和感だが、〈他人にリズム合わせて もっと利口に生きれば/血も流れないウワベの 順風満帆 Days〉などは音なしでもわかるB’z節。

 久保田利伸ベストアルバム『THE BADDEST』発売。

 レイ・チャールズがサザンをカヴァーした「エリー・マイ・ラブ~いとしのエリー」をリリース。24万枚で年間47位。この話題じたいがバブリーだった。

 相撲界では、貴花田が17才で史上最年少関取に。
 
 
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